2023年、本格的なアフターコロナ時代が始まり、消費者が実店舗に戻り始め、急成長していたEC市場は停滞が始まりました。一方で、中国を中心とするアジア諸国で新しいコマースとして注目を集めているライブコマースは持続的に成長しており、その市場規模は2025年には中国だけでも約42兆8,400億円規模(2兆1373億元)になるという予想まであります。
変化し続けているライブコマース。この記事では2024年注目すべき5つのキーワードを通じてライブコマースを活用した最新事例を紹介いたします。企業別の事例を通じて最新消費トレンドに対応できるインサイトとノウハウを盛り込んだ「2024ライブコマーストレンド」資料から一部を簡略に紹介いたします。
*参考: 「トレンドコリア2024」で提示した10つのトレンドからライブコマースに適用できる5つを選別して作成いたしました。
1. タイパの時代
Z世代を中心に時間を効率的に使おうとする考え方「タイムパフォーマンス(略語:タイパ)」が注目されています。このようなニーズに応え、顧客の時間を節約する製品やサービスも増えています。もちろん、ライブコマースも例外ではありません。初期のライブコマース配信は少数の商品を1時間ほど時間を割いてゆっくり説明しながら販売することが多かったのですが、最近はより短いライブ配信も増えています。
©Yogiyo
2023年6月からサービスを開始したYogiyoのクイックコマースライブサービス「Yo martライブ」はその代表例であります。Yomartライブは、毎週土曜日4時30分に複数の商品をお店で買い物をするように素早く紹介し、注文すると1時間以内に商品を配送できるようにしました。このように「タイパ」を追求した配信フォーマットに変更した結果、顧客の反応が爆発的に増加し、視聴数と配信中の購入数も増加する結果になりました。
2. ダイナミックプライシング
最近は同じ商品でもいつ、どこで、誰が、どのように購入するかによって価格が変わることがよくあります。Eコマースの普及と技術の発展により一人ひとりに合わせて価格を提案することができるようになり、この流れに沿って、商品を購入する「時間」、「チャネル」、「消費者の特性」、「オプション」などを考慮し価格を変動させる「ダイナミックプライシング」が登場したためです。
ライブコマースとも非常に相性が良いダイナミックプライシング。韓国最大級のライブコマースプラットフォーム「Grip」で行われているプロモーションはダイナミックプライシング戦略をうまく活用した代表的な事例です。初めて購入する人を対象に特別クーポンを配布することは「初購入」という「状況」に合わせて異なる価格を提案するダイナミックプライシングのです。また、ライブ配信時だけ50%~80%の割引価格で販売することは「時間」という条件を活用した例になります。
3. 楽しさ至上主義
TikTok、Instagramのリール、YouTubeのショートなど、短くて強烈に消費者を魅了するシ
ョート動画が多くなり、人々はより直感的な楽しさを追求するようになりました。「楽し
さ」の追求は時間の無駄ではなく今や人生を豊かにする要素として定着したのです。そし
て、楽しいことを優先し、楽しいことのために努力する「楽しさ至上主義」はライブコマ
ースでも現れています。
「Grip」のゲーム機能
Gripには、先着順、抽選、オークションなどのゲーム機能があり、消費者に楽しさを伝えるだけでなく、楽しさを作り出す活動に参加させることで、購買コンバージョンを高めています。また、ゲーム機能は結果が予測できない状況で出るドーパミンが消費者の欲求を満たす効果があります。この機能をもとに、Gripは平均視聴時間が増え、参加も活発になり、売上増にもつながりました。
ライブコマースはトレンドに合わせて進化し、成長し続けており、顧客とのコミュニケーションや差別化のためのマーケティング戦略として定着しています。 ブランドと顧客をつなぎ、最も身近にコミュニケーションできるライブコマースならではのメリットによる新規顧客獲得とリテンションの増加は中長期的な成長の鍵となるでしょう。 より詳しいライブコマースのトレンドと企業別事例を知りたい場合は「2024ライブコマーストレンド」資料をご確認ください。